開催中(デジタルタトゥー)

デジタルタトゥーオフ会

狭いアパートで俺、須藤アキラはいつも通りにネットサーフィンをする。カビた匂いのする布団はビール缶の結露で少し濡れていて、それを、あぐらをかいた足の甲で俺は感じ取った。死体のように冷たかった。 2ヶ月前の夜からずっと、腐ったプリンの味がする絶...
第三十一回(SF)

ピグマリオン

「悪いが今のままでは許可はできない」 「なぜですか、部長!」 男はそう言って嘆願するものの、部長と呼ばれた男の反応は変わらず鈍かった。2人がいるのはあるオフィスの一室。男は、上司である目の前の男に、彼が開発した新たな製品の開発の許可を貰いに...
第三十一回(SF)

最終回

「これでおしまいだ。」 目の前で博士がそう言っているのを、僕は地面に横たわりながら聞いていた。目線の先には、同じく床に倒れ伏している仲間たちの様子が見えた。タロンのバッテリチャージャーはいつもの青色ではなく、血みたいな赤色になって、東口さん...
第三十一回(SF)

感染

ミカはリビングの端から端を行ったり来たりしていた。家の中はコックと呼ばれるクッキングマシーンの音と、ミカの素足が硬い床とぶつかる音だけが鳴っていた。今やどの家庭にも備え付けられているキッチンと一体化して姿を持たないコックの稼働音は、発売から...
その他(開催中カテゴリの投票外も含む)

とどかないメリークリスマス

「氷《ひょう》はどんなプレゼントをくれるんだろうな?」  雪がそんなことを言いながら、笑顔をこぼしていた。  しかし、その時、氷は死んでいた。  春人が雪に氷の死という最悪のクリスマスプレゼントを贈るのは、その数十分後のことだった。 ___...
第三十回(クリスマス)

シュトーレン・オア・ダイ

今日はクリスマス。世界中に愛があふれ、街は5割増しで輝きを放ち、街路樹ですらキラキラと着飾る夜。そんな日に私は、スーツのままソファーに倒れ掛かっている。仕事柄年末が忙しいのは仕方ないが今日で11連勤、1日ぶり7回目の終電での帰宅だ。さすがに...
第三十回(クリスマス)

サンタの子

サンタが父親だというのを知ったのは俺が18になって、大学に伴い一人暮らしを始めるとなった時だった。あの日、その瞬間まで俺は純真無垢なガキだったのである。俺の父はロクでもない奴で、俺が小学校から帰った時はパチンコに行っていて、俺が部活終わりに...
第三十回(クリスマス)

宅飲み

クリスマスイブの夜に大輝と僕は、僕たち2人にとっての最寄り駅の改札の前まで来ていた。小さな駅なので改札の外はそのまま野外で、刺すような寒さから逃れるすべは無かった。雪は降っていなかったけれど、冷たい風が頬を痛めた。ここに来たのは僕の家がどこ...
第三十回(クリスマス)

闇路の不通

聖夜のカウントダウンも遂に残り1日を切った。厳寒の本格化にともない穴籠もりを決め込むのが生き物の沙汰である───が、そんな闇夜にも暗躍する者が存在する。 雪深い森───町近辺の〈神秘の森〉の最奥に、その者は居た。厚い赤衣を纏い、大きな袋を背...
第三十回(クリスマス)

陰謀論ゲーム

万物を陰謀論にこじつける。つまらなかったり真実を話してしまったりした方が負けである。 クリスマスイブの昼、私の家でルドルフはこんなゲームを提案した。 ルドルフはピザにオリーブオイルを垂らして話し始めた。 「このオリーブオイルはエクストラバー...
第二十九回(煉瓦)

アーサー王のオセロット城

母親が煉瓦を買った。アーサー王の城、オセロットに使われていた煉瓦だそうだ。次の日、学校で俺は間抜けの息子になっていた。 「お前の母ちゃん、詐欺られたんだって? 笑えるよなマジで」 昨日は一緒に相席食堂について笑いあっていた友達が、自分の家庭...
第二十九回(煉瓦)

”アイツ“とボク

ボクはアイツを殴った。レンガで、思いっきり。ほんの少し前まで生きていたものが今、目の前で死に絶えようとしている。アイツの血がこびりついたレンガは夕陽に照らされながら地面に横たわっている。血は思ったよりも暗い色だ。鮮血という言葉があるくらいだ...
第二十九回(煉瓦)

レンガの裏には

元はオレンジ色だったであろうレンガは、土に塗れて雨に打たれて黒く煤けていた。なんだかんだ言ってもウチの両親も通っていたのだから年季のある学校だ。運動場の端にある花壇と目を合わせてしゃがみながら、そんなことを考える。校舎にくっついてる時計を振...
第二十八回(火)

お誕生日おめでとう

ハッピバースデートゥーユ〜と叔母が歌いながら、キッチンの奥からケーキを持ってきた。叔母の手作りだというそれは、普段自分で買うような何分割かされてるものではなく、私が今まで食べてこなかった部分も含めた、ケーキの真実だった。 ケーキの上には2本...
第二十八回(火)

勇者が生まれた日

魔王城、最上階。勇者一行が魔王と相対して半刻、既に戦いは終焉を迎えようとしていた。『火炎の勇者』ライアン、『魔導国の叡傑機構』バイオレット、『爆殺聖女』ミラ、『不侵防域』マーカスの四人は、自らの攻撃を跳ね返され地に伏す魔王を見下ろす。 「炎...